KPIによる組織運営とユーザー視点文化の危険性

KPIによる組織運営とユーザー視点文化の危険性

最近KPI周りのいい記事が結構出ているなと思い、KPIによる組織運営での振り返りや考えをまとめてみた。

このフリーアジェンダの動画や下記のcookpadさんの

とか面白かったです。前者をみてKPIってなんで設定するんだっけ?を考えた後に後者でKPIに必要な条件などを考えると順番的にはいいかなと。

KPIはプロダクト全体だと複数あるべき

まずKPIの数だけど理想はもちろん絞れている方がいいが実際にはプロダクトは多面的であり、複数のKPIをみていかないといけない。例えば新規獲得だけをみていても継続率が低ければDAUは上がっていかないだろうし、ユーザーを集めてもマネタイズが回っていないと収益は上がらない。

プロダクト全体だと複数のKPIを運用せざるおえないので複数持つべきだが脳のリソースはそこまで多くないので一人の担当者はずっと深ぼっていくために一つに絞るべきかなと思っています。少なくとも同時には。

つまりKPIの数は

  • プロダクト全体だと複数ある状態にならざるおえない
  • しかしKPIを深堀り、施策を考える人間には1つのKPI

が理想かなと思う。

KPIの組織運営面での役割

となった時にプロダクトにおけるKPIの運用は個人ではなく、チーム戦になる。各役割を下記に定義した時

  • 社長、もしくはプロダクトオーナー→プロダクトの方針決め
  • プロダクトマネージャー→プロダクト全体のKPI設計、方針を戦略に落とし込む
  • 各KPI担当者→施策立案

となり、KPIの役割は

  • プロダクトの方針の具体化によるコミュニケーションコストの低減
  • 方針の因数分解
  • 成果の可視化、また資産化
  • チームの士気向上

かなと思っている。役割は会社によって違うと思うので別にPMが施策立案やってもいいし、複数プロダクトだったら方針決めの決定権を持っていることもあるかもしれない。(まあでも事業の方針の最終決定権ってやっぱ経営が最終的には持つでしょとは思う。ここでは事業を推進する、戦略を提案するのと最終決定、資本的な責任を指している)

コミュニケーションコストの低減と因数分解

KPIの大きな役割にコミュニケーションツールとしての側面があると思う。ただいいプロダクトを作ろうでは何をすればいいか担当者は分からないというので新規ユーザーの翌日再訪率をあげようなど具体化することでより議論が集中される。

また具体的な数字目標にすることで因数分解できるようにするのも大きく、数字のどの部分なのかを担当者に認識されることで自分が全体像のどこをよくしようとしているのかを認識してもらえる。

文化がユーザー視点によりすぎたら危険

各担当者を決め、施策を考えて行ってもらう時、気にしているのがユーザー視点の施策によりすぎないと言うことです。KPI自体には

  • ユーザー体験をよくするもの
  • 事業収益性をよくするもの

の二つが大きく分けてあると思っていて理想はこの二つを満たしたKPIがあることですが実際にはどちらかに偏ってしまう場合もあります。例えば課金率なんかは前者とは違う場合があるし、なんならトレードオフになる場合もあります。

多くの組織が意識をしないと前者のユーザー体験のみになってしまいます。それは前者を話すとすごく綺麗に聞こえるから。あと事業収益性というのはプロダクトを事業として考えた人間でないとできず、そもそもwebサービスを事業として認識している人ってそんなに多くないのかなと思っています。特にtoCプロダクトにおいて。(まあちょっとこれはあまり高くないレベル感の話かもしれない)

多くの場合、事業収益性をよくする施策の提案というのは分が悪い場合が多いです。ここをちゃんと提案できる文化、人材がいるかが結構重要だなと思っていてこの観点が重要なKPIに関しては実は担当者選びを結構慎重にします。

ユーザー視点のみになってバランスをかき、まるで収益の話をするとユーザーを蔑ろにしているみたいな雰囲気になるのを避けれるかが結構重要かなと思っています。

もちろんユーザー視点を忘れずにちゃんとサービス価値と両立できるようにするというのは前提ですが。

webサービス開発における組織論カテゴリの最新記事