最近ジョブ理論を読み直して改めていい本だなーと思った。今更だけど。ジョブ理論というと顧客はジョブを雇用する。つまりプロダクト自体ではなく、ジョブ(体験だったりソリューション)に対してお金を払うというのが有名だが後半の継続的に購入されるための組織について書いているところから新規事業でうまくいかないパターンの一つ組織文化とマッチしない事業をやってしまうというものの納得度が上がったのでそれについてまとめる。
そもそもジョブ理論とは?
ジョブ理論をざっくり説明すると人はものを買っているんじゃなくてソリューションを買っているんだよという話。本で出てくる有名な例でミルクシェイクの話が出てくるが通勤中の人になぜかミルクシェイクが売れていたがそれはミルクシェイクを飲みたいのではなく、通勤時に片手でドライブしながら飲める腹持ちのいいものが欲しいというジョブにミルクシェイクが雇用されたという話がある。
人はドリルが欲しいんじゃなくて穴が欲しいんだよという話と似ている。
ジョブ>継続的な意思決定>組織>文化
で、そうなってくるとプロダクトについての考え方が少し変わってくる。というのもジョブは売っているもの(プロダクト)だけで完結しない。例えばさっきのミルクシェイクの話だとミルクシェイクをひたすら商品開発するだけではなく、どう買いやすくするか、例えばドライブスルーの方が通勤中の人が買いやすいんじゃないかとか売り方などにも影響を及ぼす。
こう言った意思決定の集合体がソリューションの解決に必要不可欠になってくる。そしてこの継続的な意思決定は組織があらゆるところでしないといけないし、その軸となる組織文化がないといけない。
つまり
- ジョブは売り方、商品開発などいろんな側面での意思決定の集合体
- その意思決定が継続的に行われないといけない
- 意思決定の集合体を統一するためには組織が、それを継続するためには組織文化が必要
ということになる。一見同じ事業でも事業体が違えば違う事業になる。
新規事業がうまくいかないのは文化にあった事業じゃないから
となると逆にいうと文化によってできる事業は限定されるとも言える。あっていない文化で事業を行うとその修正は難しい。一見資産もあり、強そうに見えるところが資本のないところに負けるのはこれがあるからだと思う。
例えば安定稼働させることが重要なインフラの会社がスピード感持ってせめていかないといけないエンタメ事業などに手を出すと組織文化が合わず、変に動きが遅くなり負けてしまう。
それはどっちが劣っているからとかではなく合う合わないで向上させるとかでもないので解決は難しい。最初の創業事業により文化は作られ、その文化にあった事業をその後も行うべき。理想はその組織文化を時代によって変化させられることだがそれは難易度が高いので新しい箱を作って一から文化を作り直した方が現実的かもしれない。
統一させるべきもの
組織として統一させるべきもをもう少し具体的にすると継続的な意思決定の判断軸と文化で少し違うと思う。
継続的な意思決定において統一すべきものは一時的なもので戦略に根ざすものであり、文化はもっと根っこにあり、長期に渡って残るハード部分になる。継続的な意思決定を生み出すのは組織でその組織に時間軸がつくと文化になる。
継続的な意思決定において統一すべきものは
- どの顧客に対して自分たちが価値提供するのか
- そのソリューションの肝はなんなのか
だと思う。ここが揃っていないと各所での意思決定がチグハグになり、全体的な体験設計ができない。
対して文化で統一すべきことは戦略の意思決定のフォーマットであり
- 戦略意思決定時の基準(どの時点でどれくらいのリスクを許容するか
- 意思決定者をどういう利害関係にするか
- メンバーの戦略面での納得度(感情的な受入度
- 経営、メンバー、株主などの各立場における利害関係の調整
なのかなと思う。