面白そうなプロダクト、市場はなんですかと聞かれたらもう何年も生鮮食品ECと答えているし、会社ならdely(KURASHIRU)、10Xがおもろいと答えている。なんでこんなに面白いと思っているかというと
- めちゃ難易度が高い
- でもあったら絶対便利
- しかもプレイヤーの個性が強い
という状態でこれ人気漫画の要素満たしすぎだろと思っている。ちなみに最初に予防線をはっておくとまじで市場の調査など大してしていないので所々浅いんだけどまあこれは分析の記事ではなく、面白さを語る記事なので大目に見て欲しい。
物語はKURASHIRUのyahoo入りから始まる
「ヤフー、料理レシピ動画「クラシル」のdelyを93億円で連結子会社化」
https://japan.cnet.com/article/35122329/
KURASHIRUはもともとレシピ動画サービスで始まっているが大きく舵を切ったのはこのyahooの連結子会社が一つのタイミングかなと思う。この連結子会社化は二つ意図があるんじゃないかなと思っている。
- yahooの検索流入を得る
- EC拠点を手に入れるための資金
yahooの検索にはかなり出るようになっており、yahooはもともとコンテンツを持っている会社を傘下におさめ、検索結果に出すコンテンツまで自社でコントロールする方針で動いていたのでこれはすごくいいコンビだなと思った。
もう一つが憶測だけどEC拠点の資金集めでこの資金集めが生鮮食品ECを行う足掛かりなんだろうなと。つまり
- レシピを調べ
- それを作りたいと思ったらすぐにネットスーパーで購入
という流れを想定したレシピ+生鮮食品ECの構想がここでついに表面化した。ような気がする。
タベリーの誕生とクローズ、そしてStailer
一方、レシピよりもう一階層上の献立を簡単に作れるアプリとして出てきたタベリーも上記の構想をもともと描いていた。タベリーがすごいのは実際に今プロダクトとして実現しているところで実際にネットスーパーで発注できる。
もう勝負ついたんか!と思いきや実際にはタベリーはクローズすることになった。おそらく献立を作るプロダクトからユーザーの認識を変えられなかったんだろうなと思う。メディアからECというのはすごく前からいろんなプレイヤーが挑んだところで実はすごく難しい。
というのもメディア!として来ているユーザーを購買のモードに入らせるのって大変なんですよね。メディアで情報を得て普段使っているecに飛んじゃう。これはメディアだけじゃなくて全てのプロダクトにおいてユーザーの認知を帰るのは至難の技。
どこを取ったら勝ちなのか?
おそらく両者最初は献立、もしくはレシピからそのまま材料を購入で生鮮食品ECに行こうとしていたのだが10Xはタベリーを閉じ、その道ではなく、そのまま直でネットスーパーに参入した。その参入の仕方はすでにあるスーパーと手を組んでやるというもの。確かにスーパーとしての認知があるし、拠点があるのでECもやりやすい。気になるのがただの受託になるのでは?というところだがアプリストアを見るとアカウントが10Xになっており、単純に受託でやるという形ではないし、トランザクションに対してフィーが発生する形で完全に一緒に事業を行うような形になっている。これなら確かにアプリが軌道に乗った後乗り換えはしにくい。
多分10Xはタベリーでの学びがレシピや献立は最初は見るけど慣れたら使わないし、メディアとしてみにきているユーザーのCVは難しいと判断したのかなと。なので直でネットスーパーを取りに行く、しかし、一から作るのは難しいと判断してすでにそのアセットを持っているところと組むという流れ。
これが本当だとするとKURASHIRU+ネットスーパーも成功するのかは怪しい。ただこの仮説は間を埋めるものでカバーできるんじゃないかなと思っているし、多分KURASHIRUもそれ狙いなんじゃないかなと思っている。と思ったのがチラシ機能の出現。
実は大切なのはチラシとメモ?
KURASHIRUにちょっと前からチラシ機能ができていてこれってネットスーパーへの布石として良いよなあと思いました。つまり上記のレシピアプリはレシピを探しに来ているので購買モードにユーザーを持ってきにくいという仮説があるんだとしたらチラシ目的で購買モードのユーザーを引き付けることで解消するかもしれない。
ただあくまでチラシって近くのリアルのスーパーだと思うのでそこはちょっと違うかもと思った。将来のスーパーの購買って普段はネットスーパーでだいたい買って時々材料足りなくなったら近くのリアルのスーパーで買うみたいな体験になるんだろうか?そしたらKURASHIRUのチラシと今後出るであろうネットスーパーの機能をハイブリットにするのは良いなと思った。
上のようにレシピ→ネットスーパーがないと判断した10Xは直接ネットスーパーを取りに行った。KURASHIRUの意図は予想だけどチラシを挟むことでリアルとネット両方ハイブリッドの世界はあるような気はする。
まとまった集配ができるユーザーを確保できるかが鍵?
購買目的のユーザーを獲得するのともう一つネットスーパーの鍵になるのが配送料だと思う。数十円をチラシ見て買う層相手なので数百円配送料がかかるのはきつい。ここを下げるためには生協のように集団に対してまとめて配送するという手が今のところ最適解な気がするがこのユーザーを集団で獲得できるかが重要なのかなあ。
廃棄率の削減
もう一点重要になりそうなのが廃棄率で生鮮食品である以上賞味期限がシビア。この在庫リスクが結構きついと思う。ここを減らすためには在庫管理もそうだが賞味期限切れそうなものをどう加工して賞味期限を伸ばすかも重要そう。
実は競合?トクバイ
実はチラシをアプリで配信するというのは先行者がいて特売がそれになる。
実はこのチラシアプリのロコガイドがチラシからネットスーパーいくのでは?と思った頃もあったがIRなどを見るとスーパーで垂直に撮るのではなく、チラシ情報の置き換えを狙っているらしい。ロコガイドという社名もその方針を表しているし。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4497/tdnet/1851799/00.pdf
なのでロコガイドがくることはないのかな。穐田さんも非常に魅力的な経営者なのでこの市場に入ってきてくれたらさらに面白かったろうなと観戦者側としては思う。
【追記】クラシルストアの終了
ちなみに今見たらクラシルストアが7末で終了するらしい。野菜宅配など生鮮食品のECも閉じるとのことなので今後の展開に期待。
物語はここで終わらずスーパー市場にまでいく?
とまあ激動の市場だし、各自のやっている検証が非常にダイナミックで面白い。ただこの話はさらに続くと思う。実はスーパーっていうと生鮮食品のイメージがあるがスーパーではちょっとした生活用品も買える。生活に必要なものをワンストップで買えるという体験がスーパーだとすると生鮮食品以外の市場もネットスーパーで取れる。この市場は本当に広い。